2009年6月 No.578 Volume 49 コピライト4/4
ここまで、PPV-DVDをセルとレンタルの中間にある市場を対象とした第3のビジネスモデルであるとして語ってきた。しかし、PPV-DVDにはもう一つの可能性があると考えている。実は、PPV-DVDは超流通※2を実現する技術と考えることができそうである。超流通は、1983年
に筑波大学の森亮一教授が提唱したデジタルコンテンツの流通概念で、コンテンツの流通にはほとんどコストをかけず、また流通段階ではコンテンツの料金は発
生しないが、コンテンツの利用時に料金を徴収することができるというものである。超流通の場合は複製も含めて自由に行なえ、複製物も自由に配布することが
できるとされているが、この点がPPV-DVDでは異なっている。
また、PPV-DVDでは、視聴後にも購入者がPPV-DVDを所有し続けることを前提としているようだが、これを積極的に第三者にほとんどまたは完全に無料で配布することを積極的に推奨することで、コンテンツは自由に流通していくが、視聴時には、コンテンツ提供者にきちんと視聴料が支払われることになる。
※2 森亮一、河原正治:『歴史的必然としての超流通』「情報処理学会『超編集・超流通・超管理のアーキテクチャシンポジウム』論文集」(vol.94、No.1、pp.66-76(1994))http://sda.k.tsukuba-tech.ac.jp/SdA/reports/A-50/21894.html、森亮一、河原正治、大瀧保広:「超流通:知的財産権処理のための電子技術」(情報処理、vol.37、No.2、pp.156-161(1996))http://sda.k.tsukuba-tech.ac-jp/SdA/report/A59/draft.html
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※こまざき・ぶいち:1982年埼玉大学教育学部卒業。
1986年2月よりビデオ著作権保護・監視機構。1990年2月より(社)日本ビデオ協会(現日本映像ソフト協会)。ニューメディア研究委員会、eメディア部会などを担当。パッケージメディア関連技術や非パッケージメディアの動向を研究。